ユーモアとか皮肉・自虐的なジョークなどが心底好きです。
誰かが皮肉や気が利いた冗談だと思って冷笑的・嘲笑的なことを言っていたとしたら、そんなのは馬鹿にしているだけでただの嫌味です。
そういうものではなくて、人間に対する根源的な愛情が感じられる冗談が良いのです。現在の自分や相手の状況などを愛情をもって客観視し、笑い飛ばすことによってそれらを乗り越えて行こうとするような、肯定的・前向きな精神があるのです。
とは言え、私は我が家では皮肉も自虐もきつすぎる時があるらしく、家族ですら戸惑うほどの皮肉は控えないといけないようです。
ジョークで言えば、イギリスの男性俳優が好きです。ヒュー・グラント、サイモン・ペッグ、ビル・ナイ。女優さんは、イギリスよりもアメリカ人の方が面白い人が印象で、スーザン・サランドン、サンドラ・ブロック、2016年のゴーストバスターズに出ていたケイト・マッキノンも良かったなあ。
つい最近で一番印象的だったのは、第72回トニー賞授賞式のプレゼンターの一人、エイミー・シューマー(アメリカの大人気女性コメディアン)。
「マイ・フェアレディ」のパフォーマンスを紹介する際に、原作の「ピグマリオン」を「階級社会とセクシズムのコメディ」と言ったり、花売り娘を教育しようとする主人公を「上から目線のヒギンズ」と言ったり。これから紹介する作品だっていうのに、そんな強烈なことを言ってしまえるなんて、すごいなあ!と。
この第72回のトニー賞授賞式ですが、とんでもなく素晴らしいものでした。トニー賞自体はアメリカの演劇・ミュージカルの年間優秀賞の授賞式で、合間にあるミュージカルのパフォーマンスが素晴らしいことで有名です。
ただ、今年のトニー賞がすごかったのは受賞作品の多様性やスピーチでした。
演劇やミュージカルをはじめとする芸術が、どこかで辛い思いをしているひとや立場にいる人を救うこと。また表現することによって表現者自身も救われること。LGBTQの人々のこと、さまざまな人種の人々にもしっかりとした活躍の場が与えられ始めていることなどなど、本当に素晴らしい受賞作品とスピーチの数々。
その中でも特に感動的だったのは「バンズビジット」(映画「迷子の警察隊」の舞台化)で、ミュージカル部門の助演男優賞を受賞したアリエル・スタッチェルのスピーチです。
「今夜は僕の両親が会場に来ています……。僕は両親と距離を置いて、何年もの間、自分が中東出身ではないようなふりをしていました。9.11後は特につらくて、2人に会う機会を避けてきました。それなのにこうしてきてくれるなんて、本当に信じられません。(中略)自分の人種を描いた役などあるわけないと長年思っていたけど、現実になりました。この舞台が変化のきっかけになったと、中東の子どもたちから感謝の手紙が届いています。(中略)人生最高の瞬間だ、信じられません。子どもたちに伝えたい。障害が生きる目的になることもあります。ありがとう」
彼の声を震わせたスピーチとご両親の様子を見ていると、長いあいだの葛藤があったのだろうと思います。この授賞式の模様はWOWOWオンデマンドで配信していますので機会がありましたら、ぜひ。
ちなみに、このトニー賞のパフォーマンスで一番好きだった動画を貼っておきます。
8 Times a Weekという歌で、今年の司会者二人のジョシュ・グローバンとサラ・バレリスが歌ったもので感動的?な楽曲です。体資本のミュージカル俳優って大変!ちなみに、たぶんわざとなとてもださい衣装も見所です。
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