紅花舎と鏡餅に別れを告げてフリーマーケットへ
久しぶりのお布団でぐっすりと眠り、少年サッカーの子どもたちが予想よりも多くのご飯を食べたために私の朝食が遅くなるという愉快なアクシデントで一日が始まりました。みんなでどれだけ多く食べられるのか競争でもしたのでしょうか。想像するだけでかわいらしいです。
陽が差してやや気温がぬるんできたころに、今回の目的である山口フリーマーケット骨董市へ。ほぼ毎月の第1日曜日に亀山公園で開かれているこのフリーマーケットはいろいろと面白いものがあり、2〜3年前までたびたび通っていました。
久しぶりに来たフリーマーケットは以前にくらべてやや小さくなり、アクセサリー類などにめぼしいものがなかったのが残念でしたが、骨董市で買う活字やそれこそアクセサリーを入れるのにぴったりな古びた事務用の小さな引き出しを、2つ購入。
重たいのでぐるっと会場を一回りして帰ってくるとおじさんが
「安くするからもう1つも買ってってよ~」
というので、ちょっとお安めの値段とおじさんが販売しているドリップコーヒーを一杯おまけしてもらいました。 ふだんはあまり値切ったりはしないのですが、たまにはこういう買い方もいいのかも、なんて思ったり。
でもこれを平気でできるようになってしまうと、あんまりよくないお客さんになってしまいそうです。
あわせて来たい山口県立美術館へ
さて、山口市のこのフリーマーケットに来たら必ず寄るのが、道をはさんで向かいにある山口県立美術館です。この美術館はあまり大きくなく、展示数も多くはありませんが、規模からすると写真の展示が多いのが特徴です。
美術館のためだけには来ないけれど、フリーマーケットのついでには絶対に寄りたいところです。
この日、1月6日はコレクション展で、その中で絵と写真の特集「昭和の家族」がやっていました。
戦後のたくましく生きるしかなかった子どもたちの表情が素晴らしい林忠彦「カストリ時代」の数点、名前だけは知っていた木村伊兵衛の「秋田」からの被写体あるいは人間に対する優しさにあふれる写真などに驚きました。
そして一番心に残ったのは荒木経惟「センチメンタルな旅」からの4枚。もともと大好きな写真集でしたが見るのは久しぶりですし、実際のプリントを見るのは初めてです。
なんだか挑むようにカメラを見つめる荒木経惟の妻陽子の眼に、射抜かれます。
こちらがひるんでしまいそうなほどの強い視線の三枚に続く最後の一枚は、川下りの小さな船の上で、目をつむりまるで胎児のように丸まって眠るか細い彼女です。
その姿は触れたらほろほろと崩れてしまいそうな、かろうじて形をとどめている燃え殻のような、そんな写真です。見た瞬間に思わずこみ上げてくるものがありました。
陽子がすでに亡き人だから泣けるのか、ただただ写っているものの儚さに泣けるのか、それとも今は亡き知り合いの姿を重ね合わせて泣けるのか。
今回の旅で見た最後のものがこの写真になりました。
時が止まったような俵山の温泉街と、否応なく時の流れを考えさせられる荒木経惟の陽子の写真。 不思議と「時」について思いを巡らすショートトリップとなりました。
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