俵山温泉街歩き
「町の湯」で十分にあたたまったら薄着でもぽかぽかな体で、俵山温泉の小さな街歩きです。薄着なのは慌てて家を出て来たのでコートを忘れ、ベストしか防寒着がないという残念な理由なのですが。
車がすれ違うのも大変そうな細いメインストリートを、浴衣に下駄のおじさんが闊歩し、正月飾りや賀正の張り紙のある静かな家々を「こんにちは~」と温和そうな郵便配達員さんが年賀状を配っています。その横を地元の小さなおばあちゃんがひょこひょこと通りすぎて行きました。
街外れの川沿いの道へ
「三猿まんじゅう」という看板に誘われて、メインの道から階段を降りて川沿いの道へと出てみましたが、人気(ひとけ)がまったくありません。おまけにお土産にと思ったお目当のおまんじゅう屋さんには臨時休業の張り紙。
けれど、この温泉街の中心部からは低いところにあるこの道を歩くのはなかなか良さそうです。むしろおまんじゅう屋さんが臨時休業なことが、街の味わいを深くしているようにすら思えます。
旅館の増築した建物と本館を結ぶ渡り廊下のつぎはぎな感じ、客室の布団を廊下側の窓にずらりと干している大きな木造旅館、小さな公民館とブロックを雑に積み上げて作ったちゃちな公衆便所、廃業した魚屋さん。そして昔ながらの美容室の時を止めたキッチュな時計。
誰もいない道端でその時計をぼんやりと眺めていると、この小さな街から人々が忽然と姿を消し、時すらも止めてしまった世界に自分だけが迷いこんでしまったような、そんな感覚におちいります。
そして戻る
しばらく時計を眺めた後、やけに小さな勝手口と小さなガスボンベのある細い坂をのたのたと登って、裏通りからメインストリートに出ました。
ぐるっと一周してスタート地点の町の湯へ戻ろうかという時、旅館のガラス戸越しに小さなタイルの玄関が目に入りました。きれいに掃除が行き届いているのでしょう、青と緑の色褪せていないその美しい彩りにはっとします。
セピア色の世界からフルカラーの世界に、時を止めた路地裏から生きた温泉街に、ようやく戻ってきました。
次来るときは、このタイルの美しい旅館に泊まろうと思います。
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