夏祭りって、この年まできちんと行ったことがありませんでした。
だって夏祭りって単純に想像すると、とっても苦手なことです。駐車場を探さなきゃいけないこと、人が多くて身動きが取れなくなるんじゃないかという恐怖、ねっとりとした暑い空気、どろりと汗をかくこと。とにかく面倒くさいことだらけ。
一昨日の夜、食べすぎたうえにあんまり動かなかったなあということで、プールに行ってみたところ早仕舞い。なんだかそのまま帰宅するのももったいないので、気まぐれにお祭りへ行ってみました。
水路沿いに灯された、すこし黄色味がかった明かりの連なりは非日常への入り口です。
いつもは閑散としているお宮の境内には、祭りの衣装をまといほろ酔いのおじさんたち、威勢のよいテキ屋のお兄ちゃん、小さな子どもを連れた浴衣で行き交う家族、たむろしている少年少女たちのそれぞれの集団。
テキ屋さんのテントにいくつも並んだライトが、彼らを宵闇に照らします。
楽しそうな彼らの喧騒。見失った誰かを探す声、そこかしこで交わされる挨拶、友達と騒ぐ少女たちの嬌声。その声に引きずられる丸坊主の少年たちの視線。
浴衣姿で額に汗した少女の、正面からではなくちらりちらりと少年たちに送られる視線。もしかしたら声をかけられるかもしれないという期待感に満ちた彼女たちの表情の愛らしさに、私ですらくらくらとします。
夏休みの入り口の非日常的なお祭りは、彼らのためにあるのだと初めて知りました。この大事な大事な一夏に、なにか素敵でわくわくすることが起きるかもしれないと願う彼らの、純粋な興奮と熱気とがあまりにも眩しい。
屋台にならぶりんご飴のように、赤くて甘酸っぱくてきらきらとしていて可愛らしくて。
そんな彼らにとって、とても素敵な時間だからこそ、二日目のひどいひどい夕立は残念でしょうがありませんでした。
それでもとりあえず、と思ってふらりとお宮に行ってみました。夕立の名残でぱらぱらと降る雨の境内に、傘をさしたりささなかったり、少年少女たちが楽しそうにうろうろしています。家族連れなんてほぼ皆無なのにも関わらず。
一夏の恋のきらめきを求める彼らの、なんとたくましいこと!私の想像をはるかに超えている、青春のきらめきでした。
私もそんなほがらかでたくましい青春を過ごしていれば、もうちょっとましな性格になっていたかも。
とりあえず、来年もお祭りにふらりと行ってみようかな。来年こそは雨が降りませんよう。
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