読書日記、茨木のり子著「詩のこころを読む」(岩波ジュニア新書)

 詩を読むと、不思議と心が軽くなります。

 日々暮らすなかで、誰にも言えないようなぐちゃぐちゃとした感情や、自分では言葉にできないような考えなどを、シチュエーションは違うはずなのにすっと汲みとり昇華させてくれるような、そんな効能が詩にはあるような気がするのです。

 とは言っても、そんなにたくさんの詩に触れたことがあるわけではないので、ふといつもの書店で見かけたこの本を手にとってみました。

 詩人茨木のり子さんが、彼女自身が好きな詩を若い人に向けて紹介するという本書。「生まれて」という第1章から始まり「恋唄」「生きるじたばた」「峠」「別れ」という5章からなり、茨木さんの「心のそこ深くに沈み、ふくいくとした香気を保ち、私を幾重にも豊かにしつづけてくれた詩」たちが紹介され、そして解説があるという本です。

 岩波ジュニア新書は中学生以上に向けて書かれた新書とのことですが、中学生どころか30半ばのこれから詩を読もうかと思っている私にとって、最良の入門書となりそうな本でした。

 とりあげられている詩は彼女自身が好きな詩というだけあって素晴らしいものばかりで、この本で知り読んでみようと思う人が何人もいました。ざっとあげていくと、谷川俊太郎、会田綱雄、黒田三郎、阪田寛夫、滝口雅子、岩田宏、岸田衿子、石垣りん、河上肇です。名前くらいは知っているけれどちゃんと読んだことのない人、あるいはまったく知らなかった人と、さまざまです。

 これらのとりあげられた詩はもちろんのことですが、それらを紹介をする茨木さんの文章がとても素晴らしいものです。なぜ詩という表現に惹かれるのか、表現する時にどうあるべきなのかということがさらりと書かれているのですが、それが入門書といいながらも「詩とは」「表現とは」という、深い部分に切りこんでいるのです。

 これを入門書として読んだ若い人が、詩の素晴らしさに目覚めないわけがない、たとえすぐではなくとも種として心に残りいつか彼ら彼女たちのなかで、大きく芽吹くのだろうと思わずにはいられません。

 奥付をみると、1979年に発行されたものですが、2017年4月5日で第78刷。それも納得のとても素晴らしい本でした。

 そしてあまりにも不勉強でお恥ずかしいですが、茨木のり子さんの詩を読んでみようと思います。

テヒマニ

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