旅行記の話。

 みなさんの本棚ってどんな感じですか?

 私の本棚は正直、ぐちゃぐちゃです。読み終わった本も読んでいない本もごっちゃにに入っています。大半は読んでいないし読みかけのものもありますし、整頓もされていない。なんというごった煮感。そしてなんという本の所有の少なさ!

 かつていた茨城の家では、部屋の1つの壁が本棚というのが二部屋ありました。みんなの本が集まってなかなか素敵な光景を作っていたのを懐かしく思い出します。

 その中でも私が10〜20代に熱心に読んでいたのは、旅行記でした。小学館文庫から出ていた大原利雄さんの温泉紀行や外国の方々の日本の徒歩紀行などをはじめとする旅行記、椎名誠さん、野田知佑さん、高野秀行さんの本。

 私は茨城から福岡に引っ越ししてくる時に、どうしても手放せないと思った本以外のほとんどの本を処分してきてしまいました。旅行記たちは処分してしまった本たちです。

 なんてアホなことを!とかつての自分に言いたいぐらいですが、もう過去には戻れないわけですし、言っても詮無いことです。ただ、今の自分だったらそんなことは絶対にしないだろうなと思います。

 なんと言っても、私の血肉になった本たちなのですから。

 一番影響を受けているのはやはり最後にあげたお二人、高野秀行さんと野田知佑さんでしょうか。 野田知佑さんは高校時代、ほぼ全作品を読んでいました。仲間たちとにぎやかに、あるいはカヌー犬と共に静かに、の川下り・川遊びのエッセイは、高校時代の私にはとてもとても魅力的に見えたものでした。

 ただ、特に好きだったのは、初期に書かれた「日本の川を旅する」、野田さんの若かりし日の葛藤とそこから逃れるように旅をした「旅へ 新・放浪記」という、ややストイックな感じのするものです。特に「旅へ〜」は、なぜ川の旅を求めるようになったのかということが、とてもご自身の内面に踏みこんだ形で書かれていて、読んだ当時にひりひりすると同時に、どこか救われたような気分になったことを思い出します。

 大学時代にはまっていた高野秀行さんは、もうとにかくくだらないはずのことを真剣にしていて、本当に大好きでした。

 とくに好きなのが早稲田大学探検部での活動を書いた「ムベンベを追え」です。アフリカのコンゴにいるという幻獣ムベンベを探しに行く話なのですが、もうほんと、真剣なんだかふざけてるんだかよくわからない。現地に行くために淡々と、というかしっかりしすぎるくらいに準備を進める様子や、現地の人との読者からすれば面白おかしいやり取りなどが描かれていたような気がします。

 すこし毛色は違いますが、旅行記の分野ではこのお二人に強い影響を受けていたのだなあと、今更ながらに思います。もうすこししたら、いくつかまた改めて読みなおしてみようかな。

テヒマニ

暮らしにまつわる小さな雑誌「テヒマニ」ブログ。福岡県うきは市を中心に、個人的に配布している小さなフリーペーパーの、配布情報や日々の雑感にまつわるブログです。

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